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現地レポート

大会5日目 男女準決勝 「ガッツでチームに勢いを!」 RSS

2016年8月4日 23時26分

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 「平成28年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会 第69回全国高等学校バスケットボール選手権大会」の5日目は男女の準決勝が行われ、それぞれにファイナリストが決定しました。男子は京都・東山と福岡・福岡第一、女子は愛知・桜花学園と岐阜・岐阜女子です。これらの4校は明日の決勝戦進出と同時に、12月に行われる「ウインターカップ2016」への出場権も獲得しました。

 岐阜女子に57-63で敗れた大阪・大阪薫英女学院。チームを率いる安藤香織コーチは「決定力の違いと、エースの高原(春季)を守られたのが一番の敗因」と語ります。岐阜女子とは今年度のチームになってから4度対戦していて、ディヤイ・ファトー選手らインサイド陣に失点することは、ある程度織り込み済みだったと言います。それだけに平均170センチ超のサイズを有するスタメンチームで点の取り合いを挑んだものの、その中心として期待したエースを止められてしまい、リズムをつかめませんでした。ディフェンスで、岐阜女子が少しだけリードしていたということでしょう。
 それでもチームは最低ラインと定めていた「ベスト4進出」をクリアし、準決勝でも粘りを見せられたことは次につながります。

オールラウンドに活躍する大阪薫英女学院#6峰晴寿音選手(写真左)

オールラウンドに活躍する大阪薫英女学院#6峰晴寿音選手(写真左)

 エースの高原選手が抑えられた後半、追撃の3ポイントシュートを決めていったのは、昨年度のU-16女子日本代表にも選ばれた峰晴寿音選手でした。安藤コーチが「あの子の一番の評価ポイントはガッツです。しかもチームが苦しいときでもチームの主軸である金田(愛奈)や高原に頼らず、自分で何とかしようとしてくれるんです」と認めるオールラウンドプレイヤーは、岐阜女子戦でもインサイドからアウトサイドまでさまざまな場面に顔を出し、時にチームの危機を救い、また時にチームに勢いをもたらしていました。
 「まだまだ技術を向上させないといけないのはわかっていますが、最後の最後で勝負を決するのは気持ちだと思っているので、どんなときでも声を出し、笑顔でプレイしようと心がけています。第4ピリオドの3ポイントシュートも、『最後までやったる!』という気持ちで打ちました。(安藤)コーチがガッツを評価してくれているのはわかっています。だから最後まで強く行けるんです」
 一方で、そうした気持ちの強さが空回りになることもあります。今日の前半がそうでした。しかし「熱くなったら、これを見るようにしていました」と言って見せてくれた左手の甲には、「冷静!」の文字が書き込んでありました。それもまた、終盤の活躍につながった要因なのかもしれません。
 ガッツのあるプレイを冷静に――高原、金田に続く大阪薫英女学院の“第三の女”が冬までにどこまで成長し、チームの勝利に貢献できるのか。注目したいところです。

 男子の福島・福島南はインターハイ初出場でベスト4まで勝ち進みました。しかし、この準決勝では東山に90-100の惜敗。「出だしでインサイドの制空権を奪われたのがすべてです。しかし後半は福島南らしく走り切って、自分たちの力を出せました。初のインターハイでどこまで勝ち進めるのか楽しみでもありましたが、ここまで選手たちがよくやってくれました」と、水野慎也コーチはチームを評価します。

180センチに満たないながらもインサイドで力を発揮する福島南#7半澤一貴選手

180センチに満たないながらもインサイドで力を発揮する福島南#7半澤一貴選手

 東山に制空権をもたらせたカロンジ・カロンボ・パトリック選手にマッチアップしたのは、福島南のセンター、半澤一貴選手です。206センチのパトリック選手に対して、半澤選手は179センチ。27センチも下回っていました。
 「パトリック選手に点を取られすぎました。彼をあと10点抑えていれば、ウチにも勝機はあったと思うのですが……」
 高さでやられた場面は、もちろん多々あります。しかしそれ以上に半澤選手が悔やむのは、横への動きを守り切れなかったことです。高さで勝てないのであれば、少なくとも横の動きでは勝たなければ、勝機は訪れません。水野コーチからの指示もそうでしたし、半澤選手自身そのつもりでいました。しかし高さを意識するあまり、横への反応が遅くなったのでしょう。ファウルが重なり、結果として自らの動きを制限する結果になってしまったのです。
 それでも「パワーはそんなに感じませんでした」と、身長の低い自分が全国区の留学生を相手に通用するポイントを見つけられたことは、次につながる貴重な発見です。
 「僕は(同じく福島南のスタメンである)弟の凌太よりも身長が低いけれど、パワーなら負けません。そのように自分ができるところでチームに貢献したいと思っています。それは他の選手たちも同じで、チームのために自分は何で頑張れるのかをそれぞれが考えて、それを一生懸命にやる。それが今年の福島南の強さだと思います」
 180センチにも満たないセンターが、自慢のパワーとチームメイトの力を借りてインターハイのメインコートに立つ。それもまた高校バスケットもおもしろさだと、半澤選手のプレイを見て、改めて感じました。

 高さや速さ、身体の強さといった身体能力はバスケットというスポーツにおいて大きな武器になりますが、勝負を決する要素はそれだけではありません。それぞれの能力をいかにチームの中で発揮し、それを結集させて、より大きな力にしていくか。いわゆる総合力、チームケミストリーこそが勝敗のカギです。
 大阪薫英女学院の峰晴寿音選手、福島南の半澤一貴選手のガッツあふれるプレイは絶対にチームに欠かせません。それもまたバスケットというスポーツにおいて、チームを強くする武器なのです。

さまざまな個性をチームにまとめてこそ、強いチームは生まれる(写真は大阪薫英女学院)

さまざまな個性をチームにまとめてこそ、強いチームは生まれる(写真は大阪薫英女学院)

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