JBA

JBA

現地レポート

大会4日目 男女準々決勝 「エースは1日にしてならず」 RSS

2016年8月3日 21時36分

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 「平成28年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会 第69回全国高等学校バスケットボール選手権大会」の4日目は、男女の準々決勝が行われました。男女ともにいよいよベスト4が決まり、明日はメインコートに模様替えされた広島サンプラザで、それぞれが決勝戦進出を目指します。

 女子の第1試合で、優勝候補の一角にも挙げられていた新潟・開志国際を破ったのは、北海道・札幌山の手です。最終スコアは74-68。リオデジャネイロオリンピックの女子日本代表である長岡萌映子選手を擁した、2011年度以来のベスト4進出です。
 チームを率いる上島正光アシスタントコーチは勝因を「インサイドとアウトサイドをバランスよく攻められたこと」と、今日の出来のよさを認めます。なかでも開志国際のセンター、シラ・ソカナ・ファトージャ選手に真っ向勝負を挑み、勝ち切った札幌山の手のエースセンター、栗林未和選手を称えます。「昨日は(栗林選手の出来が)ひどくて、試合後に泣いていたんです。でも今日は頑張ってくれました。彼女が攻めたから、ソカナ選手を5ファウルに追い込めました」
 栗林選手本人も「昨日は後輩たちに助けられたので、今日は3年生一人ひとりが強い気持ちをもって戦おうと臨みました。それができてよかったです。チーム全体として大きく崩れることもなかったし、このチームになって今までで一番の出来です」とゲームを振り返ります。そのうえでソカナ選手とのマッチアップについては、「相手がどうこうではなく、とにかくやるしかないと思っていました。第1ピリオドで思いのほか攻めることができたので、どんどん行こうと思って攻め続けました」と言います。

高さと幅を生かしたフックシュートを打つ札幌山の手#4栗林未和選手

高さと幅を生かしたフックシュートを打つ札幌山の手#4栗林未和選手

 彼女の身長188センチは、ソカナ選手などの留学生を含めても女子の今大会ナンバーワンです。ハンドリングや、ステップワークなどの課題はまだあるのでしょうが、それでもその身長から繰り出されるフックシュートは簡単に止められるものではありません。
 「2年生まではインサイドでの基本的なプレイばかりでしたが、3年生になってからは上島アシスタントコーチから『プレイの幅を広げなければ、今後は通用しない』と言われて、その第一歩としてフックシュートを練習してきました」
 その成果は間違いなく出ています。
 明日は愛知・桜花学園との対戦になります。インサイドには馬瓜ステファニー選手などのライバルもいますが、「今日のよいイメージをもって臨みたいです。ポイントは最初の5分だと思います。そこでどれだけ踏ん張れるか」と栗林選手は力を込めます。序盤からエースがその力を発揮することができれば、長岡選手と同じくリオデジャネイロオリンピックの女子日本代表である町田瑠唯選手、本川紗奈生選手たちの代以来の決勝進出も手の届くところにあります。

 同じようにエース同士が見ごたえのあるマッチアップをし、力を出し切ったのが、男子の京都・東山と石川・北陸学院の一戦です。結果は80-69で東山が勝利し、2年連続の準決勝進出を決めました。
 その東山に真っ向勝負を挑んだのが北陸学院の2年生エース、大倉颯太選手です。東山のエース、岡田侑大選手を相手に両チームトップの36得点をあげています。「真っ向勝負」とはいえ、彼の持ち味は周りを生かしながら、自分の能力を生かすプレイ。決してセルフィッシュになることなく、周りと連携しつつ、岡田選手に挑んでいました。

1対1で東山#4岡田侑大選手を抜く、北陸学院#12大倉颯太選手(写真左)

1対1で東山#4岡田侑大選手を抜く、北陸学院#12大倉颯太選手

 「(岡田)侑大さんとのマッチアップは特別に意識していませんでした。チームにおける役割も違いますから」と、大倉選手は冷静に振り返ります。そしてさらに「春の招待試合でマッチアップしたこともあるし、今回も僕が勝っているところもあれば、負けているところも見つけることができて、楽しかったです。ウインターカップでは追い越したいですね」と今後への抱負も語ってくれました。特別な意識こそしていないとは言うものの、やはり目の前にいる相手チームのエースに負けることは、北陸学院のエースとして、どこかで悔しい思いもあったのでしょう。それがあるからこそ、敗れてもまた立ち上がり、上を向いて成長できるのです。
 「このインターハイを通してマークが厳しく、思ったプレイができませんでした。得点はチームで一番取っていると思いますが、まぐれで決まったようなシュートもあったし、悔しいところもあります。もっと自分のやりたいプレイで得点を取りたい……。まだまだ満足はしていません」
 北陸学院の濱屋史篤コーチだけでなく、東山の大澤徹也コーチでさえ「彼の爆発力はすごい」と驚愕する2年生エースは今後、その才能をどう伸ばしていくのか。今後も引き続き注目していきたいエースの1人です。

 どのチームにも“エース”と呼ばれる選手はいるものです。しかし全国の舞台に立てば、そのエースを上回るエースが出てくることもあります。全国の舞台は甘くありません。そのなかでいかに力を発揮するか。むろん今日の北陸学院のように、エースが光を放っても、結果的に勝利に結びつかないこともあります。
 それでもエースがエースたる存在感を示すことは、その試合の結果以上に、チーム全体の士気――つまりはチームの今後にも大きく関わってきます。
 昨日の悔しさを晴らして準決勝に挑むエースと、今日の悔しさを地元に持ち帰る下級生エース。エースは1日にしてならず。彼らはまだまだ進化の途中です。
 明日の準決勝では、果たしてどんなエースたちの姿が見られるのでしょうか。

バックタップシュートを決める大倉颯太選手。彼の攻撃センスは今後も注目。

バックタップシュートを決める大倉颯太選手。彼の攻撃センスは今後も注目。

[ 記事URL ]